丁字路

サラリーマンYと脱サラリーマンTが書くブログ

丁字路

―別々の道を選んだ2人の記録―

(Y) Life Is Journey

 

 

旅に憧れたのは中学生の頃、親族で6,7個上の男の人がインドの周遊から帰ってきた時だった

 

 

 

芸術大学を卒業した彼はポケットに財布とパスポートを入れたジーパンにTシャツ、サンダルで日本を出た。

私が行き先を知った時にはもうすでにインドにいた。

そして彼は、私がろくに勝てない弱小田舎中学校でサッカーをしている間に

インドを放浪していた。そして、約一年かそれぐらいで戻ってきた。

袋と楽器を大量に持って兵庫の自宅に戻ってきたとのことだった。

 

彼はその後も行動が早かった。

その楽器を様々なカフェで演奏して周り、地元の中学校の国際交流授業で演奏した。

持ち帰ったスパイスと布、自分の演奏した音楽を使ってカレー屋を経営した。

彼は自由に過ごす。自由に好きなところに住む。でも彼の周りにはいつも面白い友達がいる。

今は結婚して居酒屋を経営している。

 

 

 

私はその生き方や才能に憧れたが一方で絶対にそうなれないとも感じていた。

彼は身長180センチでサッカーでスカウトされた。

ボクシングジムに体験に行けばプロに育てたいとオファーが来た。

地元で開かれた音楽イベントのライブではDJ兼変な楽器の奏者としてトリを務め、

家の壁に絵を描いてくれと頼まれていた。

決して驕らず、敵を作らず、淡々と人生を楽しめる人で、その環境を自分で作ることができる人だった。

 

一方私は体も小さく高校ではサッカーで試合に出たり出なかったりだった。

中学校の合奏コンクールではカスタネットしかできるものがなかった。

絵を描くのは得意だったが絵の具セットを洗うのが面倒であまり色を丁寧に塗らず成績も微妙だった。

よって、特技はない。勉強も得意ではなかった。

 

 

 

そのまま大きくなった私は現在、サラリーマンだ。

23歳、残念ながらインドの旅人とは程遠い。

 

私は何も努力しなかったわけではない。

才能がないなりにもなんとか世界を広げようとしてきた。

アルバイトも色々やったし、そこでいろんな人と会った。

ベトナムカンボジアバックパッカーもしてみた。

スケボー仲間とかボーリング仲間とかフットサル仲間とか

いろんな友達もいた。喋るのが苦手でもがんばった。

いろんなことをやってみて自分の得意なこと、自分の土俵を探してきた。

しかし、敷かれたレールから外れる勇気はなかった。

 

そして、今の仕事にありついている。

私の持つ才能からすれば、今の会社に入ることができたのは正直不思議なことだ。

もしかすると、そういう面は多少うまくやれるのかもしれないとその時は勝手に感じてもいた。

だが私はまだ自分の才能が見つからない。私の魅力を精一杯話したいが残念ながらいまは無理だ。

 

しかし、これだけは確実に私の中に植え付けられている。

才能がなくても、リスクを受け入れる勇気がなくても、旅には出られる。

 

私は少なくともいま、兵庫の田舎を飛び出し東京のジャングルや茨城の変な土地に住んできている。

見たことない景色を何度も見れたし、絶対に自分で住むことを選ばないような土地に住めた。

受動的である点は些か残念だが間違いなくこれは旅だ。と、私は考えている。

この道を選んだことで東京にも友人はできた。地方から出て来た同じようなヤツとも知り合えた。

知り合った奴には地元の街にはいない、いろんな経験を持った凄い奴もいる。

 

これまで憧れていたインドの旅人とはやはり程遠いが、つまりこれが私の旅なのかもしれない。

これから、仕事でもプライベートでも様々な魅力ある人間を発見できるかもしれない。

 

人生の旅を楽しむのに才能はいらないと教えてくれたのは皮肉にも私自身だった。

私が憧れていたインドを放浪した才能に溢れる男の旅も、一つのJourneyの形だ。

私は私の旅をすればいい。形にこだわる必要はないのかもしれない。

これからもし私がレールを外れる力を身につけたなら、そうするだろう。

そしてきっとそれも楽しいに違いない。

 

旅が嫌いな人にもこんな私の思いを少しでもわかって貰いたい思いでいる。

リアルなJourneyを感じられる人生に憧れがない人は、この映画を見てほしい。

 

living is easy with eyes closed

f:id:t3y:20170122210804j:plain

 

 

あなたが思うほど、人生の偶然に身を任せるのも悪くないと教えてくれる。

さっぱりした、ちょうどまた会いたくなるような別れがあるのもいい。

 

そして、逃れたいものがあったとき、思い切って飛び出すことができる人にも、

この映画はその行動力を賞賛し、選択が正しいと後押ししてくれるだろう。

 

良い出会いばかりではないし、居心地が良い所が恋しい気持ちにもなるが、

新たな世界が開けるような偶然ほどおもしろいものはない、

そんな旅がしたいと、より一層思えるようになった。

これからも私は新たな景色を見たい。新たな人の魅力を発見したい。

また、これから起こる出来事に備えて、少しでも自分の才能を見つけよう。

 

私の日曜は朝起きて、腕立て伏せをして、スターバックスに行った。

ブックオフに寄った。それで終わりだった。

銭湯に行けば完璧だったが、寒いからやめた。

普通の1日。そんな日もたまには悪くない。

 

明日からも私のゆっくりとした旅は始まる。